冷淡な辛抱強い愛

大阪中の電気を消して夜空を見上げるのが夢

まるで昨日のことのよう。

自らの親知らずの存在を知ったのは3年ほど前。会社の歯科検診で言われました。

「親知らずがあるので1回ちゃんと診てもらったらどうですか?」

無慈悲だなあと思いました。なんせ私は歯医者にかかった記憶がありません。

「1回ちゃんと診てもらったらどうですか?」

反芻しながら歯医者の予約を取りました。

 

「親知らず?まあ診てみましょか」

慣れぬ場所にガチガチに緊張していたものの、別に歯医者で緊張するわけないし的な顔で突撃した私を先生は気さくに対応しました。

しかし、口を開けてすぐの一言で私は気絶しそうになりました。

「親知らずあるねえ、上下4本ね」

「えっ」

「レントゲンやね」

「ええっ」

訳が分かりませんでした。ワタシ、ニホンゴ、ワカラナクナリマシタ…。

レントゲンの結果、上は抜けるが下は大きい病院を紹介すると言われ、私はもはや灰色でした。別に親知らずは悪ということではなく。親知らずどころか我知らずだったことにショックを受けたのです。己の歯事情をまったくもって知らなかったのです。親知らずってなんなんそもそも。

 

その時は親知らずから目を背けて生きていこうと思い、特に何もしませんでした。私の分身だもの。

 

 

―――あれから3年。

 

 

私は再び歯医者の予約を取っていました。なぜだか急に…親知らずを抜きたくなったのです。理由は分かりません。痛くもなかったです。私が親知らずの存在を認識し、向き合い、敬い、感謝し、だからこそ別れを告げるのに3年必要だったのかもしれません。

「なんでまた急に抜く気になったん?」

先生には不思議な顔をされました。3年寝かすのは珍しいことなのでしょう。

 

そして、抜きました。麻酔は偉大ですね。痛くないんですもの。

親知らずに何かしらの器具を突き刺した「ゴリッ、ゴリッ」な音、尋常ではないヨダレの量はしばらく忘れないでしょう。

血がなかなか止まらなかったのが悲しかったところですが、今のところ順調に治癒に向かっております。

 

残り、3本。

全部抜いた頃、親知らずブログを更新します。

 

誰が親知らずブログやねん。

 

ほな、また。

 

f:id:Azzzzz88888:20220905225857j:image

 

本日のBGM「親知らず」チャットモンチー